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キャバクラ経営改善2026-07-02

8月の「ニッパチ」は、7月の準備で決まる

夜の商売には「ニッパチ」という言葉がある。2月と8月は売上が落ちる、という昔からの経験則だ。飲食店でもアパレルでも言われるが、夜の街は特にこれをはっきり感じる業界だと思う。

8月が落ちる理由はだいたい想像がつく。お盆で帰省する人が多い、暑くて外に出たくない、夏休みの旅行に出費が回る、営業の会社は休みが増えて仕事帰りの一杯がなくなる。どれも店の努力ではどうにもならない外的な要因に見える。

でも、実際に毎年の数字を並べてみると、おもしろいことに気づく。同じ8月でも、前年比でほとんど落ちない店と、ごっそり落ちる店がある。同じ街、同じ業態でも差が出る。

その差は、8月に何をしたかではなく、7月に何をしていたかで決まっていることが多い。

8月に新規で挽回しようとすると間に合わない

落ち込んでから慌てて動く店は、たいてい「新規集客」に走る。割引イベントを打つ、広告を増やす、体入を強化する。でも、新しいお客さんが店になじんで指名やボトルに繋がるまでには、どうしても時間がかかる。8月に入ってから新規を集めても、その月の売上にはほとんど効かない。

8月の売上を支えるのは、結局のところ「もともと来てくれている人」だ。閑散期にものを言うのは、新規ではなく既存のお客さんとの関係の深さになる。

ということは、やるべきことは8月の集客ではなく、7月のうちに「8月も来てくれる人」をどれだけ作っておくか、という話になる。

7月は、実はお金が動きやすい月

タイミングとして、7月は悪くない。むしろ追い風が吹いている。

6月下旬から7月にかけては夏のボーナスの時期だ。お客さんの財布に余裕が生まれるので、普段より指名やボトルが入りやすくなる。7月は夜の街にとって、年間でもお金が動きやすい月のひとつだ。

ここで大事なのは、7月の売上をただ「今月よかった」で終わらせないことだと思う。7月に来てくれたお客さんと、8月にもう一度会う約束まで作れているか。そこまでやって初めて、7月の好調が8月の下支えになる。

具体的には、こういうことだ。

  • 7月に久しぶりに来てくれたお客さんの来店間隔を把握しておく
  • ボーナスで気持ちよく使ってくれた人ほど、8月に「また」と言える関係を作っておく
  • 8月のイベントの日程を7月のうちに伝えて、予定に入れてもらう

「来月もよろしく」を、7月の好調なテンションのうちに仕込んでおく。落ちてから連絡するより、ずっと自然に届く。

「誰に連絡するか」が感覚だと、抜け落ちる

8月対策でよく言われるのが「閑散期に入る前からこまめに連絡を取る」というものだ。これは正しい。でも、実際にやろうとすると、ひとつ壁にぶつかる。

誰に連絡すればいいのか、が意外とわからないのだ。

毎週来る常連は放っておいても来る。問題は「2〜3週間に一度くらいのペースで来ていた人」で、この層が8月にふっと足が遠のく。そして、このペースの人ほど、忙しい現場では記憶から抜け落ちやすい。最後に来たのがいつだったか、誰も正確には覚えていない。

ここが感覚頼みになっていると、連絡すべき相手を取りこぼす。声をかけるべきだった人に限って、気づいたときには来なくなっている。

来店履歴が記録として残っていれば、話は変わる。「前回から3週間空いているお客さん」をリストで出せれば、誰に7月のうちに一声かけておくべきかが、感覚ではなく事実として見える。

Luna Pos のような POS で来店とお客さんの情報が紐づいていれば、こうした「そろそろ間が空いてきた人」を抽出するのは難しくない。記憶を頼りにするより、抜け漏れがずっと減る。

浴衣・夏祭り——イベントは「来店理由」を作る装置

8月対策のもうひとつの定番が、夏のイベントだ。浴衣で接客する「浴衣デー」、店内に提灯や縁日コーナーを作る「夏祭り」。普段のドレスとは違う特別感があって、写真も映えるし、お客さん参加型にしやすい。

イベントの本当の効果は、その日の盛り上がりそのものよりも「来る理由を作れること」にあると思う。「8月は暑いしお盆だし、わざわざ行かなくてもいいか」となりがちなところに、「あの日は浴衣らしいから行ってみるか」という小さな口実を差し込める。

だからイベントは、当日よりも告知のタイミングが効く。7月のうちに「8月◯日、浴衣デーやります」と伝えておけば、お客さんの予定の中に居場所を作れる。8月に入ってから告知しても、もう予定は埋まっている。

落ちることは前提にしていい

最後にひとつ。8月にある程度売上が落ちること自体は、悪いことではないと思う。お客さんにもキャストにも夏の予定があって当然だし、無理に普段通りを求める必要はない。

大事なのは「想定外に落ちる」ことを避けることだ。毎年8月がどれくらい落ちるかを数字で把握しておけば、慌てずに準備できる。去年の8月の数字が手元にあれば、今年はその手前で何を仕込んでおくべきかが見えてくる。

ニッパチは、避けられない季節の波だ。でも、波が来るとわかっているなら、その前にできることはいくらでもある。8月の結果は、たぶんもう7月の動き方で半分決まっている。


8月の数字を見て「今年も落ちたな」と思うか、「去年より粘れたな」と思うか。

同じ夏でも、7月をどう過ごしたかで、見える景色は変わってくる。

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