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業界知識2026-03-19

札幌・すすきのでキャバクラを出すなら知っておきたいこと

すすきのは、歌舞伎町・中洲と並ぶ日本三大歓楽街のひとつ。東京ドーム約3個分のエリアに約3,500の飲食店がひしめき、夜間人口は約8万人。北海道のナイトビジネスは、ほぼこの街に集約されています。

「東京は家賃が高すぎる」「地方で勝負したい」——そう考えたとき、すすきのは候補に入る街です。ただ、東京や大阪とは違うルールで動いている部分がある。知らずに出すと噛み合わない。

この記事では、すすきので出店を考える人が事前に知っておくべきことを整理します。

すすきの独自の業態——「ニュークラブ」という文化

すすきのに行ったことがない人がまず戸惑うのが、「ニュークラブ」という呼び方。

本州で言う「キャバクラ」は、すすきのではニュークラブと呼ばれます。逆に、すすきので「キャバクラ」と言うとセクシーキャバクラ(お触りあり系)を指す。名前が同じなのに中身が違う。

これは単なる言葉の違いではなく、すすきののナイト文化そのものに関わる話。ニュークラブはキャバクラより少しだけ高級感のある業態として位置づけられていて、内装や接客のトーンも若干違います。本州からの出店で「キャバクラ」の看板を出すと、地元客の期待値とズレる可能性がある。

すすきのの大手グループ——バルセロナグループ、プリンスグループ、シティグループなど——はいずれも「ニュークラブ」として展開しています。

営業時間——午前1時まで営業できる

風営法では接待を伴う飲食店の営業は原則午前0時まで。ただし都道府県条例で延長が認められる地域があり、すすきのは午前1時までの営業が可能な指定エリアです。全国的に見ると1時まで認められているエリアは限られているので、これはすすきのの強みのひとつ。

インバウンドの急増——数字で見る札幌の変化

札幌の外国人宿泊者数は、2024年度に約218万人。前年度比で35%増。コロナ前の2019年度(約242万人)にはまだ届いていないが、回復ペースは速い。

国・地域別では:

  • 韓国: 約59万人(最多)
  • 中国: 約46万人(前年の2倍超)
  • 米国: 約9万人(39%増)

北海道全体の外国人延べ宿泊者数は2024年に1,031万人泊と過去最多を更新。札幌はその中心です。

さっぽろ雪まつりは毎年約230万人が来場し、冬の集客力は圧倒的。ただし、これらの観光客がすすきののニュークラブに来るかどうかは別の話です。

ニセコの富裕層は、すすきのに来るのか

札幌のインバウンドを語るとき、避けて通れないのがニセコの存在。

ニセコは世界的なパウダースノーリゾートとして確立されていて、オーストラリア・欧米・東南アジアの富裕層が冬に集中する。リフト券1日1万円超、宿泊費1泊10万円超が珍しくない世界。

札幌とニセコの関係は、バンクーバーとウィスラー、デンバーとベイルのようなもの。リゾートと都市がセットで機能している。

では、ニセコに来た富裕層がすすきのまで足を伸ばすか。

ニセコから札幌まで車で約2時間。 同じ夜に行くには遠すぎる。ただ、ニセコ滞在の前後に札幌で1〜2泊するパターンは多い。新千歳空港からニセコに直行するよりも、札幌経由のほうがアクセスの選択肢が広いから。

ここは大阪IRの「別日回遊型」と同じ構造です。同じ夜には来ないけど、別の日に札幌で遊ぶ。冬のすすきのにとって、ニセコ富裕層は「直接の客」ではなく「滞在の副産物として来る客」。

ただ、現状のすすきののニュークラブが、英語対応や富裕層向けの接客に対応できているかというと、まだまだこれから。ここにギャップがある分、先に対応できた店は有利になるかもしれません。

季節変動——すすきの最大の特徴

すすきのを語るうえで避けられないのが、季節による客足の波

札幌の観光は冬に偏っている。雪まつり(2月)、スキーシーズン(12〜3月)に観光客が集中し、夏の「よさこいソーラン祭り」や「札幌ビアガーデン」の時期も賑わうが、春と秋は谷間になる。

地元客は通年でいるが、観光客の波が大きい分、繁忙期と閑散期の売上差が東京より激しい。東京のように「毎月だいたい同じ」にはならない。

これは経営計画に直結する話で:

  • 冬の繁忙期で年間利益の大半を稼ぐ前提の資金計画が必要
  • 閑散期に固定費(家賃・人件費)をどう抑えるかが生命線
  • キャストの確保も季節で波がある(冬だけ働きたい人、通年で働ける人)

「年間平均」で見ると悪くなくても、月ごとのキャッシュフローが東京とはまるで違う。ここを甘く見ると資金が回らなくなります。すすきのはまだ規模があるから成立しますが、もっと小さな地方都市ではこの波に耐えられず消えていく店が多い

すすきのの家賃——東京との比較

すすきのの店舗家賃は、歌舞伎町と比べると大幅に安い。

ビルや階数、広さによって幅はあるが、すすきのの飲食店向けテナントは月額30〜80万円程度が中心帯。歌舞伎町の同規模テナントが100〜300万円以上することを考えると、固定費のハードルは明らかに低い。

ただし、家賃が安い=利益が出やすい、ではない。客単価もすすきのは東京より低い傾向がある。セット料金で比較すると、歌舞伎町の高級店が1時間8,000〜15,000円のところ、すすきののニュークラブは5,000〜8,000円が一般的。

家賃は安いが、客単価も低い。 この比率が東京と同じか、それよりいいかが出店判断のポイントになります。

「北海道だからこそ」の強みはあるか

すすきのには、東京にはない独自の強みもあります。

1. 競合の顔ぶれが限定的

歌舞伎町は全国チェーンから個人店まで無数の競合がひしめく。すすきのはバルセロナグループ、プリンスグループなど大手が強いが、その分「大手と違う路線」を打ち出せれば差別化しやすい。選択肢が多すぎて埋もれる東京と、少数精鋭で目立てるすすきの。

2. 観光客の「夜の選択肢」が少ない

すすきのは歓楽街としての規模は大きいが、観光客向けのナイトエンターテイメントは充実しているとは言えない。ラーメン横丁やジンギスカンの後、「次どこ行く?」の選択肢が少ない。ここに入り込める業態は、観光需要を取れる可能性がある。

3. 「北海道ブランド」の吸引力

北海道は食・自然・リゾートで国内外から圧倒的な人気がある。「北海道で遊ぶ」こと自体に価値を感じる人は多い。東京や大阪にはない「旅先の特別感」が、すすきのの夜に付加価値をつけている。

出店判断で考えるべきこと

すすきのでの出店を検討するなら、以下の点を整理しておく必要があります。

向いているケース:

  • 東京の家賃競争に疲れた、または初期投資を抑えたい
  • 季節変動のある経営に対応できる資金力がある
  • インバウンド需要を取りに行く具体的な戦略がある(多言語対応、富裕層向けサービス等)
  • 「ニュークラブ」の文化を理解し、現地に合わせた業態設計ができる

注意すべきケース:

  • 東京と同じ営業スタイル・料金設計をそのまま持ち込もうとしている
  • 「家賃が安いから」だけが理由
  • 冬の売上だけで年間を計算している
  • 現地のグループ店との競合を甘く見ている

まとめ

すすきのは「安い東京」ではない。独自の業態文化(ニュークラブ)、営業時間(午前1時)、激しい季節変動、そしてインバウンドの急増——東京とは違うルールで動いている街です。

家賃の安さは魅力的だが、客単価も低い。冬は強いが、春秋の谷間をどう乗り越えるかが問われる。ニセコの富裕層やインバウンド観光客は潜在的な客層だが、それを取りに行く準備ができている店はまだ少ない(→ ナイト業界「2兆円市場」の正体)。

逆に言えば、すすきの独自のルールを理解したうえで、インバウンド対応や季節変動への備えを組み込んだ計画で出店するなら、東京より少ない投資で勝負できる街ではあります。


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