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キャバクラ経営改善2026-03-13

英語が話せるキャストの時給が3万円になる日

タイのバンコクには、外国人観光客向けのKTV(カラオケクラブ)がある。

ミニマムチャージは1人あたり5,000〜10,000バーツ(約2万〜4万円)。ドリンクやチップを入れれば1卓で10万円を超えることも珍しくない。日本の高級キャバクラと変わらないか、それ以上の単価。

客層は欧米、中東、日本、韓国とバラバラ。共通言語は英語になる。で、そこで働いている女性たちの一番の「武器」は何か。容姿はもちろんある。でも英語が流暢なホステスは、そうでない子の2〜3倍の指名を取る。お客さんが楽しめるかどうかは会話にかかっているから。どれだけきれいでも、話が通じなければ2回目はない。

これ、他人事じゃなくなってきている。


日本の夜の街に何が起きているか

数字を見ると、流れはもう始まっている。

2025年の訪日外国人は4,270万人、消費額は9兆5,000億円。 どちらも過去最高を更新した。しかもこの数字はコロナ前の2019年(3,188万人)をはるかに超えている。一過性のリバウンドじゃなくて、構造的に増えている。

そのお金がどこに流れているか。ショッピングや観光地だけじゃない。

政府が「ナイトタイムエコノミー」の推進を打ち出してから、夜の経済圏に注目が集まっている。2025年の観光白書では「夜間の消費拡大」が重点テーマとして取り上げられた。バーやクラブだけじゃなく、キャバクラやラウンジにも外国人のお客さんが増えている店がある。特に歌舞伎町、六本木、銀座、道頓堀、中洲。

実際、インバウンド客の夜の支出額はコロナ前と比べておよそ2倍になったというデータもある。円安で「日本は安い」と感じている外国人が、夜の店にも躊躇なくお金を落とす。1卓あたりの客単価が日本人客の1.5〜2倍になるケースが報告されている。


「英語が話せる」が、なぜそこまでの価値になるのか

キャバクラの本質は会話。これは国籍が変わっても同じ。

外国人のお客さんが日本のキャバクラに来る理由は「日本独特の接客文化を体験したい」から。ホステスが横に座って、お酒を作って、会話する。この形式自体が海外にはほぼない。興味はある。でも言葉が通じない店には行けない。

つまり、英語が話せるキャストがいる店いない店で、インバウンド客を取れるかどうかが分かれる。

ここで注目すべきは、英語で接客できる人材の供給がまったく追いついていないということ。

日本のキャバクラで働いている人のうち、英語で接客できるレベルがどれくらいいるか。キャストもボーイも含めて、感覚的にはかなり少ない。留学経験があったり、帰国子女だったりする人は一部いるけど、圧倒的に足りない。

需要が伸びていて、供給が少ない。経済学の基本として、そこにプレミアムが乗る。非英語圏の複数の国で行われた調査では、英語が話せる人の賃金は話せない人より20〜50%高いという結果が出ている。これは一般的な労働市場の話で、接客業——しかも会話が売上に直結するナイトワークなら、その差はもっと大きくなりうる。

時給の高騰が続くキャバクラ業界で、英語対応できるキャストの時給はさらにその上を行く可能性がある。たとえば時給2万円の相場に、語学プレミアムとして5,000〜10,000円が上乗せされるとしたら、時給3万円。あくまで仮定の数字だけど、荒唐無稽ではない。外国人客の客単価が日本人の2倍なら、その分キャストに払える原資も増える。


タイの夜の街から学べること

冒頭で触れたタイのKTVは、ひとつのモデルケースになる。

タイの観光業は外国人客の比率が非常に高い。バンコクやパタヤのナイトスポットは、タイ人向けと外国人向けで完全に棲み分けができている。外国人向けの店は英語が標準語。メニューも英語、会計も英語、接客も英語。

その結果、何が起きたか。

英語ができるスタッフの給与が、できないスタッフとは大きく差がついた。 たとえばタイの一般的な接客業の月収は15,000〜25,000バーツ(約6万〜10万円)。一方、外国人向けの店で英語が話せるホステスは月収10万バーツ(約40万円)を超えることもあるとされる。業態や店のグレードが違うから単純比較はできないけど、ざっくり4倍の差がある計算になる。

もちろん日本とタイでは業界の構造が違う。でも仮にこの「4倍」を日本に当てはめてみると、時給5,000円のキャストが英語で外国人客を接客できるようになったら時給2万円相当。時給1万円なら4万円。あくまで単純な掛け算だけど、前述の語学プレミアム(20〜50%)と外国人客の高い客単価を掛け合わせれば、ありえない数字じゃない。

「外国人客の単価が高い → 英語対応できる人材の価値が上がる → 報酬に反映される」という構造は、国が変わっても同じ。


「英語ができる」のハードルは思ったより低い

ここで大事なのは、「英語がペラペラじゃないとダメ」ではないということ。

キャバクラの接客で使う英語は、ビジネス英語のように複雑じゃない。必要なのは:

  • 挨拶と自己紹介
  • お酒の好みを聞く・おすすめする
  • 相手の仕事や旅行の話を聞く
  • 冗談を言ったり、リアクションを取ったりする
  • 料金やシステムを説明する

日常会話レベルの英語力があれば、最初は十分。むしろ、完璧な英語よりも「一生懸命話そうとしている姿勢」の方が外国人には好印象だったりする。日本人の謙虚さや丁寧さは、英語がカタコトでも伝わる。

それに、今はスマホの翻訳アプリもある。全部を英語で話す必要はない。難しい単語が出てきたらアプリを見せて笑い合える——そのくらいのカジュアルさでいい。

問題は、「英語で接客する」という発想自体がないこと。多くのキャストにとって、お客さんは日本人。外国人が来ても「私は無理」で終わる。でもそれは、大きなチャンスを見過ごしていることになる。


キャストから見た「インバウンド対応」のメリット

英語が話せるようになると、キャストとしてのキャリアの幅が一気に広がる。

指名が増える

外国人のお客さんは、英語で対応してくれるキャストを強く覚える。海外からの出張や旅行で東京に来るたびに同じ店に来る。リピーターになりやすい。しかも、SNSで「この子が最高だった」と発信してくれれば、その友人や同僚が次に東京に来たときに指名してくる。口コミの力が日本人客よりも大きく働く場合がある。

客単価が高い

前述の通り、外国人客は円安の恩恵もあって日本人客よりお金を使う傾向がある。ボトルを入れるハードルが低い。チップ文化がある国のお客さんには「チップの代わりにボトル入れてもらう」という流れも作りやすい。給与の仕組みがバック制なら、客単価が高いほど自分の手取りに直結する。

「この店にいる意味」ができる

キャストが辞める理由を掘り下げると、「飽きた」「成長している実感がない」という声が出てくる。英語接客というスキルを磨くことは、毎日の仕事に新しいチャレンジを加えることになる。しかもそのスキルは、ナイトワークを卒業した後にも残る。語学力は他の仕事でも武器になる。

店を選ぶ基準が変わる

時給の数字だけで店を選んでいると、もっと高い店ができるたびに移るループに入りやすい。でも「英語接客ができて、外国人客が多い店」という基準で選べば、自分のスキルが活きる場所に長くいる理由ができる。時給ではなく、環境で選ぶ。

店側から見ても、「英語が活かせる環境」を用意すること自体が差別化になる。時給競争に巻き込まれずに、英語力を持ったキャストに「ここで働きたい」と選ばれる店になれる。


オーナーから見た「インバウンド対応」の可能性

キャストだけの話じゃない。店として外国人客を取り込めるかどうかは、これからの経営に大きく関わる。

客層の分散ができる

日本人客だけに依存していると、景気や競合の動きにモロに影響を受ける。外国人客という別の客層を持っていれば、日本人客が減った月でも売上が安定しやすい。リスク分散になる。

客単価が上がる

外国人客の単価が高いなら、同じ席数でも売上が上がる。時給を上げても利益が出る構造を作りやすくなる。

差別化になる

「外国人対応OK」を打ち出している店はまだ少ない。英語メニュー、英語対応可能なキャスト、クレジットカード対応(外国人はほぼカード)。この3つを揃えるだけで、GoogleマップやSNSで「Kabukicho cabaret English OK」と検索した外国人を丸ごと取れる。キャストの採用でも「うちは外国人客が来るから英語が活かせるよ」は強い訴求になる。

必要な投資は大きくない

英語メニューを作る。料金システムを英語でも説明できるようにする。キャストに簡単なフレーズ集を渡す。Googleビジネスプロフィールを英語でも記載する。やることはシンプルで、コストもほとんどかからない。大がかりな改装や新しい設備は不要。


「日本語しかできない店」が取り残されるリスク

ここまで読んで「うちは日本人客だけでいい」と思うかもしれない。確かに今はそれで回っている。

でも考えてみてほしい。

2025年に4,270万人だった訪日外国人は、政府目標では2030年に6,000万人。これは「目標」であって確約じゃないけど、大阪IR(統合型リゾート)の開業で夜の消費はさらに伸びると見られている。外国人がキャバクラのオーナーになる動きも、この流れの延長線上にある。

インバウンド客が夜の街に流れ込む量が増えたとき、対応できる店と対応できない店の差は広がる。英語対応している店に外国人客が集中すれば、その店のキャストの収入はさらに上がる。収入が上がればいいキャストが集まる。いいキャストが集まれば日本人客からの評価も上がる。好循環が回り始める。

一方、対応できない店は日本人客だけで戦い続ける。でも日本の人口は減っている。夜の街に遊びに行く20〜40代の男性人口は今後も減り続ける。パイが縮小する市場で、同じパイを奪い合う。時給を上げて人を取り合う消耗戦になる。

どっちが健全か。


これは「未来の話」じゃなくて、「今の話」

「インバウンドなんて、うちのエリアには関係ない」——本当にそうだろうか。

歌舞伎町や六本木だけの話だと思っている人が多い。でも京都、大阪、福岡、札幌、広島。地方の観光地にも外国人は来ている。Googleマップで「kyabakura」「hostess bar」「cabaret club」と検索する外国人は確実に増えている。実際、英語で「kyabakura」と検索すれば外国人向けのガイド記事がいくつも出てくる時代になった。その検索結果に自分の店が出てくるかどうか。

英語が話せるキャストの時給が3万円になる日は、もう遠くない。大事なのは、そのとき自分がどこにいるか。

キャストなら、今から英語を少しずつ始めておく。完璧じゃなくていい。「外国人のお客さんが来ても対応できます」と言えるだけで、選択肢が広がる。

オーナーなら、英語対応の準備を始めておく。メニューの翻訳、決済手段の整備、Googleビジネスプロフィールの英語化。小さな投資で、大きな市場にアクセスできるようになる。

「うちには関係ない」と言い続けているうちに、隣の店が先に動く。動いた店から、外国人客も、英語が話せるキャストも、流れていく。


まとめ

インバウンド4,270万人、消費額9.5兆円。この数字は来年も再来年も伸びる見通し。夜の街にも確実に外国人のお金が流れ込んでいる。

タイのナイトスポットでは、英語が話せるかどうかで働ける店のランクが変わり、収入に大きな差が生まれている。日本のキャバクラでも、英語対応できるキャストの価値は上がり始めている。時給3万円は荒唐無稽な数字じゃなく、客単価と語学プレミアムの掛け算で成立しうる。

必要なのは「完璧な英語」じゃなくて「英語で接客する発想」を持つこと。そして、その発想を持った人が活きる環境を、店が用意すること。


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