風紀は禁止。スタッフとキャストの恋愛関係はダメ。これはほとんどの店でルールとして決まっている。
理由もわかる。特定のキャストを優遇するようになる。付け回しが偏る。他のキャストから不満が出る。別れたあとに店の空気が壊れる。チームとして機能しなくなるリスクがある。だから禁止にしている。
ただ、ルールで禁止できるのは行動であって、感情じゃない。スタッフとキャストの恋愛は風紀で禁止できるけど、お客さんに恋してしまったキャストはもっと複雑な状況に置かれる。
恋をしたキャストは変わる
これは事実として書く。
あるキャストが、あるスタッフに好意を持った。それまではそこそこの出勤、そこそこの接客だった子が、急に出勤日数が増えて、接客も丁寧になって、売上が上がり始めた。
理由は単純で、その人に「頑張ってるね」と言われたいから。認められたいから。
人が頑張れる理由はいろいろある。お金、将来の夢、負けず嫌い。でも「誰かに認められたい」は、たぶん一番強いエンジンのひとつ。それが恋愛感情と結びついたとき、普段の何倍ものエネルギーが出ることがある。
これを「風紀だからダメ」の一言で片付けてしまうのは、ちょっともったいない気もする。
スタッフ側だって変わる
キャストの話ばかりしてきたけど、スタッフ側にも同じことは起きる。
毎日一緒に働いていて、キャストに何も感じるなという方が無理がある。好意を持つこともあるし、特定の子を気にかけてしまうこともある。それ自体は人間として自然なこと。
そして、気になるキャストがいることで、スタッフの動きが変わるパターンもある。
フロア全体をもっとちゃんと見ようとする。その子の売上が伸びるように、付け回しの精度を上げたい。店全体の雰囲気をよくしたい。「かっこいいところを見せたい」は不純かもしれないけど、その結果としてフロアワークの質が上がっているなら、それは本物の成長。
黒服としての動きが変わった、気配りが細かくなった、キャストからの信頼が厚くなった——きっかけが何であれ、身についたスキルは残る。そして、そのスキルを活かせるかどうかはどの店で働くかにもかかっている。
それでも風紀が禁止されている理由
キャスト側もスタッフ側も、恋愛感情がやる気につながることがある。それは事実。
でも、風紀を禁止している店が多いのは、やる気の話とは別のところにリスクがあるから。
スタッフとキャストが付き合うと、ほぼ確実に付け回しや評価に影響が出る。本人たちは「仕事とプライベートは分けてます」と言うけど、周りから見たらバレバレだし、他のキャストは不公平だと感じる。別れたときのダメージも大きい。
特にスタッフ側は「評価する側」という権限を持っている。やる気が出ること自体はいいけど、権限を持っている側が感情で動くと、チーム全体に影響が出る。ここがキャスト側とは違う難しさ。
もっと深刻なのは、風紀が当たり前になると店の構造自体が歪むこと。スタッフと関係を持ったキャストが優遇される——そういう空気ができてしまうと、「頑張って売上を上げる」より「スタッフに気に入られる」方が近道になってしまう。いわゆる色恋管理。こうなると、まっとうに努力しているキャストほどバカを見る環境になる。
風紀が禁止されている理由は、単に「トラブルが起きるから」だけじゃない。放置すると、努力と評価の関係が壊れる。店としての健全さが根っこから崩れるリスクがある。
だから多くの店は「禁止」にしている。その判断自体は理解できる。
感情がある前提で、どうマネジメントするか
風紀を禁止するにしても、「禁止だから存在しない」と扱うのと、「禁止だけど感情は起きるもの」と扱うのでは、マネジメントの精度が変わってくる。
たとえば、あるキャストが急に頑張り出した理由が、特定のスタッフへの好意だったとして。その「頑張りたい」という気持ち自体は本物。その気持ちを、恋愛じゃなくて「仕事での成長」に向けられたら、本人にとっても店にとってもいい話になる。
「あの人に認められたい」が出発点でも、その過程で身につけた接客力は本物。場内指名が増えた、リピーターがついた——それは恋愛感情が消えても残る実力。
スタッフ側にできるのは、その子の頑張りを正当に評価して、成長の実感を持たせること。「◯◯ちゃん、最近すごくよくなったね」——この一言を、恋愛とは関係ないところでちゃんと伝える。
頑張る理由が恋愛から仕事のやりがいに移っていけば、仮に感情が冷めても頑張りは続く。逆に、恋愛感情だけが原動力のままだと、その感情がなくなった瞬間に元に戻る。
スタッフ側も同じ。気になる子がいるなら、逆にその子に対してより公平であろうとする。感情を持っていることを自覚したうえで、行動をコントロールする。簡単じゃないけど、そこがプロとしてのラインだと思う。
キャストの成長を見守り、強みを引き出すスタッフの関わり方については、まだ輝いていないキャストを、一緒に輝かせるで詳しく書いています。
「禁止しない」という選択肢もある
ここまで「風紀は禁止が前提」で話を進めてきた。ここからは少し別の角度も考えてみたい。
最近、昼の職場では社内恋愛を禁止しない会社が増えてきている。以前は暗黙的にNGだったところも、「禁止したところで起きるものは起きる。それなら、ルールで隠させるより申告してもらって、配置や評価を調整した方がいい」という考え方にシフトしているところもある。
夜の世界でも、同じ発想はあり得るのかもしれない。
風紀を禁止している一番の理由は、付け回しや評価が偏ること。逆に言えば、付け回しや評価の公平性が仕組みで担保できるなら、「禁止しなくてもいい」という選択肢が出てくる。
たとえば、指名数・売上・リピート率といった数字が全部記録されていて、誰がどう見ても評価が客観的にわかる状態。付け回しも感覚ではなくデータに基づいて判断できる状態。こういう仕組みがあれば、「あの子だけ優遇してるんじゃないか」という疑念自体が生まれにくくなる。
感情を禁止するんじゃなくて、感情があっても公平さが崩れない仕組みを作る。すぐに全部の店でできることじゃないかもしれないけど、「禁止して蓋をする」以外の方向性として、考えてみる価値はあると思う。
付け回しの公平性をデータで担保する考え方は、つけ回しを「感覚」から「記録」に変える方法でも触れています。
まとめ
風紀は多くの店で禁止されている。それには理由がある。付け回しが偏る、評価が歪む、別れたあとに店が壊れる——リスクは確かにある。
でも、禁止しているのは行動であって、感情じゃない。恋をしたことで急に頑張り出すキャストがいるのも事実だし、スタッフ側だって気になるキャストがいることでフロアワークの質が上がることもある。
大事なのは、感情の存在を否定することじゃなくて、感情がある前提でどうマネジメントするか。頑張る理由がなんであれ、その過程で身につけた実力は本物。その実力を正当に評価して、成長の実感を持たせること。
そして、もう一歩進めるなら、感情を禁止するんじゃなくて、感情があっても公平性が崩れない仕組みを作ること。きれいごとだけで人は動かないし、きれいじゃないものを全部禁止しても消えない。だったら、仕組みで受け止める方がいい。
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