営業終了後の深夜2時。ホールの片付けが終わって、ようやく一息——のはずが、黒服の仕事はまだ終わらない。
「今日の送り、誰が誰と乗る?」「○○さん、送り先変わったって」「ドライバー足りない、もう1台呼ぶ?」
送りの手配は、毎晩繰り返される地味なオペレーションだ。だが、このコストをちゃんと計算したことがある人は、意外と少ない。
月いくらかかっているか
まず、送りの運用は店によってまったく違う。大きく3パターンある。
① 専属ドライバーを雇う(都心の中〜大箱に多い) 歌舞伎町や六本木の中規模以上の店では、送り専門のドライバーを雇っているケースが多い。日給5,000〜10,000円が相場で、7,000円前後が一般的。車はドライバーの持ち込みが基本。ガソリン代は店持ちの場合とドライバー持ちの場合がある。
2人体制×月20日なら、月28万円+ガソリン代で月30万円前後。年間で360万円だ。
② 黒服が兼任する(小規模店・地方に多い) 人件費としては見えにくいが、黒服の拘束時間が延びている。営業が終わって片付けて、そこから送りで1〜2時間。黒服の体力と生活を削っているコストだ。
③ 外部の送り業者・タクシーを使う(都心の一部) 外部委託で回している店もある。1台あたりの単価は高くなるが、管理の手間は減る。
ちなみに、送りだけでなく迎えをやっている店もある。キャストが自分の車で出勤すると、営業中にお酒を飲めない(あるいは飲んで運転してしまうリスクがある)。それなら迎えを出して車なしで来てもらった方が、店としても安心だし売上にもつながる。迎え+送りのセットで回している店は、その分コストも倍近くになる。
どのパターンでも、キャストから送り代を徴収している店は多い。1回500〜1,500円程度が給料から天引きされる。それでも深夜の安全を考えれば使わざるを得ない。送り代で店のコストの一部は回収できるが、全額カバーできるわけではない。
月の送りコストは、運用パターンや規模によって十数万〜30万円程度。「うちはそんなにかかってない」と思う店もあるだろうが、黒服の残業時間まで含めたら話は変わるかもしれない。
これを「キャストの福利厚生だから仕方ない」で済ませている店は多い。確かに、送りがない店はキャストが集まりにくい。必要なコストではある。
でも、「必要なコスト」と「最適化されたコスト」は別の話だ。
コストより深刻な「毎晩のカオス」
正直、金額だけなら「まあそんなもんか」で終わる店もあるだろう。問題はそこじゃない。
送りのオペレーションそのものが、毎晩カオスになっている。
典型的な流れはこうだ。
営業中、キャストが紙に送り先を書く。それが黒服に渡される。黒服はその紙を見ながら、ドライバーに共有する。LINEで送ることもあれば、口頭のこともある。
ドライバーはそこから、誰と誰を同じ車に乗せるか、どのルートで回るかを考える。近い方向の子をまとめて、効率のいい順番を組む。ただし、効率だけでは決まらない。売上の高い子や、翌日早い子を先に送るなど、距離とは関係ない優先順位が入ってくる。
ここまでで、すでに手間がかかっている。だが本当の問題はこの後だ。
直前になって、変わる。
「やっぱりアフター行くから送りキャンセルで」「送り先、彼氏の家に変わりました」「○○ちゃん、延長入ったからまだ上がれない」
1人変わるだけで、ルートが崩れる。同乗者の組み合わせも変わる。ドライバーが2台で足りていたのが3台必要になったり、逆に1台で済むようになったり。
これを深夜2時に、疲れ切った黒服が、毎晩やっている。
行き先はバラバラで、直前に変わって、人数も確定しない。しかも深夜。しかも毎日。
情報が一箇所にまとまらない
送り先は紙に書いてある。変更はLINEで飛んでくる。ドライバーの稼働状況は口頭で確認。
これらがバラバラの場所にあるから、全体像を把握している人間が1人必要になる。たいてい黒服だ。営業中にフロアから1人抜けて送りの段取りをしている店も少なくない。忙しい時間帯に人手が減る。
紙に書かれた送り先をLINEに転記して、口頭で確認して、また変更が入って——。情報のリレーが多いほど、伝達ミスも増える。「聞いてない」「さっき変わった」が毎晩起きる。
「あの人がいないと回らない」問題
「送りの手配ができる人」が限られる。キャストの住んでいるエリア、誰と誰を同じ車に乗せていいか、どのキャストがどのドライバーを嫌がっているか——暗黙知が多すぎて、引き継げない。
その人が休んだ日は、もう大変なことになる。オーナーが抜けられない構造と同じ問題が、送りでも起きている。
記録が残らない
誰がどこに送られたか。ドライバーがどのルートを走ったか。1台あたり何人乗せたか。
紙の情報は翌日には捨てられている。だからコストの分析もできないし、改善もしようがない。「送り、もうちょっと効率よくできないかな」と思っても、データがないから感覚で話すしかない。
これは給与計算でも問題になる。送り代をキャストの給料から天引きしている店は多いが、記録が紙ベースだと「今月何回送り使ったか」で認識がズレることがある。キャスト本人の記憶と給与明細の数字が合わなければ、当然話し合いになる。でも根拠になるデータがない。毎月こういうやりとりが発生している店は、少なくないはずだ。
POSがこの問題を解決できるかもしれない
送りの問題を見ていくと、「情報が散らばっていること」と「リアルタイムに変わること」が根本にある。
これは実は、POSが得意な領域だ。
POSにはすでに、その日誰が出勤しているか、何時にあがるか、延長が入っているか——こういった情報がリアルタイムで入っている。これと送り先の情報を組み合わせれば、送りのオペレーションはかなり変わる可能性がある。
たとえば:
- キャストが自分の端末から送り先を登録 → 紙が不要になる。変更もリアルタイムで反映される
- 上がり時間と送り先から、自動でルート候補を生成 → 「誰と誰を同じ車に乗せるか」を人間が考えなくていい
- 延長やキャンセルが入ったら、ルートが自動で再計算 → 直前の変更に振り回されない
- 送り実績が自動記録 → 月のコストが正確にわかる。ルートの効率も分析できる。キャストから天引きした送り代も記録に残るから、「給与明細と合わない」というトラブルも防げる
- 送り先情報がシステム内で完結 → 紙で回す必要がなくなる
Luna Posでは、こういった送り管理の仕組みを開発ロードマップに入れている。現時点では未実装だが、POSにリアルタイムの出退勤データがある以上、送りとの連携は自然な拡張だ。
送り代は安くならない。でも手間は減らせる
正直に言うと、POSを入れたからといって送りのコスト自体が安くなるわけではない。ドライバーの日給は変わらないし、ガソリン代も変わらない。
でも、毎晩のオペレーションにかかっている手間とミスは確実に減らせる。
営業中に黒服がフロアを抜けて送りの段取りをする時間。直前の変更で組み直す手間。送り代の天引きで揉める回数。「あの人がいないと送りが回らない」という属人化。
これらが仕組みで解決できれば、黒服は営業に集中できる。送りの手配ミスで揉めることも減る。締め作業を5分で終わらせる店があるように、送りだって仕組み化できる。
送りは「毎晩やってるけど、誰も最適化していない」オペレーションの代表格だ。コストを下げるのは難しくても、回し方を変えることはできる。
まとめ
- 送りコストは運用パターンによって異なるが、専属ドライバー2人体制なら月30万円前後
- だがコスト以上に問題なのは、紙とLINEで回すオペレーションの毎晩のカオス
- 直前の変更・キャンセルでルートが崩れ、深夜の黒服が毎回調整している
- 情報が散らばり、属人化し、記録が残らない構造が根本原因
- 記録がないから送り代の天引きで給与トラブルにもなる
- POSで送り代は安くならないが、オペレーションの手間とミスは確実に減らせる
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